▼ トラックリスト ▼
00:00~
アバンタイトル(1998年)
鷲巣詩郎
アニメ『彼氏彼女の事情』(1998年~99年)のOST盤より。鷲巣詩郎は『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年~96年)から引き続き庵野秀明監督作品の音楽を担当。原作に比べコミカル要素をさらに膨らませた演出が多く、それを彩るかのように絢爛なアイキャッチ曲も多数収録。ちなみに、オープニング曲の作詞は藤井フミヤ(元チェッカーズ、『TRUE LOVE』のヒットでソロでも黄金期)、エンディングの作詞作曲は井上陽水(PUFFYのデビュー曲を共作した奥田民生とのコラボALもヒットし、何度目かの黄金期)のカバー曲と福岡出身者で固められているが偶然と思われる。
00:12~
タバコ・ロードにセクシーばあちゃん(1980年)
サザンオールスターズ
説明不要の国民的バンドが初めてオリコンチャート1位を獲得した3rd AL『タイニイ・バブルス』より。シングル5か月連続リリース企画だったにもかかわらず、この曲はシングルカットされず。名曲『C調言葉に御用心』や『私はピアノ』には敵わない渋めな曲だが、サザンファンには人気の一曲。その証拠に、霜降り明星のせいやがR-1グランプリのネタ中で一節歌って「選曲ミス!」と自らツッコミを入れている。気持ちは痛いほどわかる。
01:46~
Wejene Aola feat. Kamasi Washington(2016年)
Dexter Story
LAジャズシーンの鬼才が共演。ドラムを中心としたマルチ・インストゥルメンタリストのDexter Storyと、現行JAZZシーンの顔役サックスプレイヤーのKamasi Washington。いずれもアフリカ志向で、前者は音楽を軸としたLA発信の異種交配型カルチャ「LAビートシーン」寄り、後者はジョン・コルトレーンから脈々と受け継がれる「スピリチュアルジャズ」路線の現代アップデートでアプローチが異なるといえる。そんな2人が選んだのは、エチオピアで1960年代に活躍した歌手Tilahun Gessesseのカバー曲。ジャマイカを中心とした思想ムーブメント「ラスタファリ運動」で信仰の対象となったハイレ・セラシエ1世の前でライブをしたことがあるとのこと。原曲のリリース時期は、独自音階を持つエチオピアンジャズも盛んだったが、ファンク寄りの曲を選んだところに2人のセンスを感じる。
03:51~
微炭酸シンドローム Feat. 阿部真央(2011年)
KREVA
通算ソロ5th AL『GO』より。盟友熊井吾郎との共作トラック上でKREVAが落ち着いた語り口でRAPをスピット。ゲストのSSW阿部真央は当時ティーンに人気があったため、「(同じレーベルだった)ポニーキャニオンのゴリ押しかよ」と毒づいていたが、改めて聞くと可愛くもハスキーな声が甘い炭酸飲料のようで、クレさんの審査耳に脱帽。
05:56~
You Can't Turn Me Away(1981年)
Sylvia Striplin
メロウグルーヴの定番クラシック!Sylvia Striplinのリリースはこの曲を収録したAL『Give Me Your Love』1枚だけ。ヴィブラフォン奏者ROY AYERSが総合プロデュースを行い、タイトル曲を含め名曲が揃う。この曲はサンプリングソースとしても数知れず。例えば...(続く)
07:41~
If You Stay(1997年)
Backstreet Boys
訓練された90s HIPHOPヘッズは当然Junior M.A.F.I.A.が来ると思ったはず!それは一旦お預けで、変わりネタを挟みました。90年代~00年代を代表する米ボーイズグループBackstreet Boys(通称バックス)。のちに再デビュー盤に収録されるが、初出はJamie Foxx主演のエロコメディ映画『Booty Call(邦題:ダブルデート)』のOST盤より。人気R&BシンガーのJoeやSilkの参加に加え、Johnny Gill & Coko(from SWV)の共演作などもあり、聞きごたえのある盤ということも相まって、ここにバックスは異様。ちなみにプロデュースはP.M. Dawn。英ニューロマンス系バンドSpandau Balletの『True』をサンプリングした『SET ADRIFT ON MEMORY BLISS』をヒットさせたThe 業界人のイメージが強いため、この程度のサンプリングでは驚きがない。
08:44~
Get Money(1995年)
Junior M.A.F.I.A.
お預けだった同ネタ繋ぎをどうぞ。ただし定番過ぎるのでフックのみ。天才The Notorious B.I.G.(通称ビギー)が地元のツレと組んだグループ。グループ名は「Junior Masters At Finding Intelligent Attitude(=聡明な若き指導者たち)」の頭文字から。ビギーは東西90sHIP HOP抗争により若干24歳で凶弾に倒れるため、彼の生前に発売されたグループとしてのALとしてはこの曲が収録された『Conspiracy』のみ。ビギーの死後、グループを存続させたメンバーを尻目に、グループから脱退したLil KIMはデビュー作『Hard Core』でダブルプラチナを獲得。Baz Luhrmann監督のミュージカル映画『Moulin Rouge!(2001年)』では娼婦に扮したChristina Aguilera、P!nk、MýaたちとLabelleの『Lady Marmalade』のカバーし、OSTのファーストカットとなった。
09:05~
One For The Money (Clark Kent Remix Feat.Foxy Brown)(1996年)
Horace Brown
「お金は大事」つながり。Jodeciの“de”ことDeVante Swingが引っ張り上げたものの、長らく裏方のサポートに回り、念願のソロALもお蔵入りになった苦労人Horace Brownのシングル限定のREMIX。この曲は前曲収録のALにも参加していたDJ Clark Kentによるもの。芸名は言わずもがな「元祖アメコミヒーロー」の世を忍ぶ仮の名前から拝借したもの。その気質を表すように、定番ネタやトリッキーなネタ一本で挑む漢気溢れる職人プロデューサー。この曲もThe Pointer Sistersの『Yes We Can Can』のワンループ一本勝負。
10:07~
PAPER DOLL(1978年)
山下達郎
前曲と同じリズム感の一曲。AL『GO AHEAD!』より。改めて山下達郎の説明をしよう。東京都豊島区出身のシンガーソングライター。通称「ヤマタツ」。1973年にシュガー・ベイブを結成し、その後ソロでも活躍。ライブや楽曲の制作へのこだわりから「職人」と呼ばれる一方、ヒットソングも数多く、1988年のJR東海のCMソングに起用された『クリスマス・イブ』は冬の定番ソングに。当時10代だった牧瀬里穂(福岡出身)のCM内の可憐な姿か、Rapperの徳利(福岡出身)の名作パロディか、どちらが先に浮かぶかは読者にお任せしよう。河童(筆者・福岡出身)は圧倒的に後者。ちなみに妻の竹内まりやも、冬の定番『今夜はHearty Party』をヒットさせているが、ケンタッキーフライドチキンのタイアップCMソングだった。曲中で「キムタクさえも かすむような男」という歌詞があるが、ドラマ『あすなろ白書』出演中の木村拓哉(当時SMAP)がセリフとコーラス(もちろん編曲のヤマタツも)で参加している。かなり横道にそれるが、『あすなろ白書』(1993年)の主題歌『TRUE LOVE』は藤井フミヤ(福岡出身)によるもの。
11:52~
Junior Sweet (Sakuragarian Dub Mix)(1997年)
Chara
MONDO GROSSO名義でも活躍する大物プロデューサー大沢伸一による一曲。12inchレコードか名作コンピ『RELAXIN' WITH JAPANESE LOVERS VOLUME 1』でしか聞くことができなかったリミックス。(ただしコンピの方は、20周年で最近CDが再発され手に入りやすくなった。)原曲はミリオンを達成したALのタイトル曲で、彼女の代表曲の一つではあるが、意外にもシングル曲ではない。特級ヒット『やさしい気持ち』が先行カットだった。(とんねるず木梨憲武のモノマネでもお馴染み。)曲名にもある「Sakuragarian」は老舗クラブThe Roomがある渋谷区桜ヶ丘に由来する。2000年にリリースされた『SHINICHI OSAWA presents SAKURAHILLS DISCO 3000』収録のMonday満ちるコラボ曲でも「Sakuragarian」が登場する。個人的な話ではあるが、この曲を知っている人は90s渋谷文化の「イカしたクラバー(死語)」である可能性が高く、自分より少し年上の「自称音楽好き」が本物かを見極める試金石として未だに有効であることを記載しておく。
14:27~
Bound For Glory(2020年)
KEIJU
そんな前曲のオリジナルバージョンを約23年越しにサンプリングした1曲。惜しくも2023年に活動休止したシティ派HIP HOPクルーKANDYTOWNのメンバーであるKEIJU(元YOUNG JUJU)の実質2nd AL『T.A.T.O.』より。難産だったと言われる収録ALの先行配信曲でプロデュースは、今や名古屋エリアに限らず数多くのアーティストに楽曲提供を行うDJ RYOW(& SPACE DUST CLUB名義)、同じくKANDYTOWNのメンバーだったNeetz、そしてThe Anticipation Illicit Tsuboiの三つ巴という珍しい形になっている。ただし、音色を聞く限りサウンドエンジニアであるTsuboi師の魔術的縫合の手腕が発揮されているように感じられる。一歩間違えると「ヒットを狙ってます感」が透けてしまう大ネタ使いにも関わらず、声を張らずに愛と覚悟をクールに語る姿は、まさに「都会的センス」と言えるだろう。生まれた環境や経験を消化して、アーティストから自然と人(ニン)が漏れ出す瞬間、かっこいいよね。
16:22~
We're Almost There(1975年)
Michael Jackson
Michael Jacksonが名門Motown Recordsから最後に出したALからの一曲。作詞作曲はEddie&Brian Holland兄弟によるもの。この兄弟はあのLamont Dozier(ソロも白眉)と組んで「Holland-Dozier-Holland」として、The Supremesの一連のヒット作をはじめMotown黄金期を支えたが、この曲の制作時期はMotownとさらにLamontとも金銭トラブルで絶賛係争中。そんな中にもかかわらず、変声期で不安定なMichaelの声域に合わせて書かれたといわれる。その後Michaelは5年の"変声期"休養を挟み、移籍したEpic RecordsでQuincy Jonesと組んだ3連作『Off the Wall(1979)』『Thriller(1982)』『Bad(1982)』を発表し、KING OF POPの名を得たのはご存じの通り。ちなみに、「日本のMJ」と称された元Folderの三浦大知(当時は三浦大地名義)も1年間の"変声期"休業を行い、4年後に復活お披露目ライブを行っている。
16:38~
Our Dreams(2010年)
METH, GHOST AND RAE
1993年にデビューを果たしたNYを代表するベテランHIP HOPクルー Wu-Tang Clan。中国武術「武当派(Wu-Tang)」を冠する通り、 ストイックでミステリアスなスタイルが持ち味で、現在もメンバー(と無数の弟子たち)のソロ作が定期的に発表され続けている。 そんなクルーの中でも人気メンバー3名が集まってコンセプトAL『WU MASSACRE』をリリース。前曲を青龍刀よろしくバッサリとサンプリングしたこの1曲は、 グループの総帥RZAが直々にプロデュース。 ただし、The Delfonicsによる名曲『La-La Means I Love You』の上で(インストでもなく普通に歌が入っているverに)そのままRAPを乗せた迷曲『Holla』という前科(?)を考えると、Ghostface Killahの嗜好が反映されたものと考えられる。また、彼のVerseの最後に「Tony Stark」と言い放たれるが、Marvel ComicのキャラクターIron Manの本名から引用した彼の”二つ名”である。ちなみに、ALのジャケットは人気アメコミ作家Chris Bachaloがメンバー3名をそれぞれ描き起こしたもの。現在も現役で主にX-MEN関連作で活躍している。
19:04~
Want Ads(1971年)
The Honey Cone
フリーソウル・クラシック!前々曲でも言及した「Holland-Dozier-Holland」がMotownから独立した時期に作ったレーベルHot Waxからのリリース。邦題は『希望に燃えて』。13年後に映画『Ghostbusters(1984年)』のテーマ曲で化け物級ヒットを生み出すRay Parker Jr.がギターで参加。河童(筆者)は高校時代にVILLAGE VANGUARD監修コンピでこの曲を知った。その後、選曲をしたDJのやけのはらが出演するイベントのフライヤーを作成する縁に恵まれ、そのツテでこのコンピにサインをもらった。今考えると失礼な話だが、甘酸っぱい思い出だ。MIXの構成としては、De La Soulの『Pass the Prugs』でサンプリングされていたフレーズ「Extra Extra Read All About It(意訳:号外~!ごうが~い!!)」から次の曲にパス。
20:45~
새 신발<新しい靴>(2014年)
IU
韓国では「国民の妹」と称される人気シンガーソングライターIU。河童(筆者)のシュキピ。イ・ジウンの名前で俳優業も行い、是枝裕和監督の映画『ベイビー・ブローカー』でも脇を固めた。デビュー当初はアイドル路線だったが(日本デビューもその頃)、徐々に玄人受けする作風にシフトし、完成度を保ちつつ現在もヒットを生み出している。とはいえ、ビジュが良いのでCDにはフォトブックがついてくる。とにかくデカい。この曲は4thミニAL『CHAT-SHIRE』より。 2024年の来日公演時、作詞家の松本隆がX(旧ツイッター)にて「登場の時、銀色のヘッドホンをしててナウシカの飛行帽みたいな究極の可愛さ 青空を飛んでいた」と称していた。映画『風の谷のナウシカ(1984年)』の同名タイトル曲(歌唱は安田成美、とんねるず木梨憲武の妻)を作詞したご本人がそのように称するのは趣が深い。また、そのあとに続いた言葉が意外だった。「ぼくはマイディアミスターから入ったんだけど、」。そう、まさかの韓国ドラマ経由のだったのだ。また、調べてみると是枝監督が起用したきっかけもこのドラマだった。河童(筆者)は未見。
22:12~
ここにしかないって言って(2017年)
ものんくる
伝説のラジオ番組『菊地成孔の粋な夜電波』リスナーにはおなじみ「さらたろう」こと吉田沙良と角田隆太(叔父はドラマーのつのだ☆ひろ)による夫婦デュオの3rd AL『世界はここにしかないって上手に言って』より。もちろん歌唱も素晴らしいが、本人達がJAZZ畑出身であることもあり、黒田卓也や石若駿ほか実力者が脇を固め、非常にクオリティが高い一枚になっている。菊地成孔主宰のソニーミュージック内のレーベルTABOO Labelからのリリースだった。(レーベル解散を機に現在はセルフプロデュースに戻る。)当初は短い曲であることからインタールード的な扱いだったが、菊地成孔の一押しもあり、先行曲どころか本人直々にMV監督を行っている。このような経緯を鑑みて、MIXでは切らずにフル尺で収録。
23:56~
Love is over... feat.さらさ(2022年)
清竜人
稀代のトリックスター清竜人8th AL『FEMALE』からの1曲。これぞデュエット!というキラーチューンで選ばれたお相手は、美術作家やアパレルブランドオーナーなどのマルチな顔を持つSSWさらさ。ソニー・ミュージックに移籍後1作目ということだが、新曲CDのほかに自身の監督映画のBlu-ray、映画のサントラCD、弾き語りライブのDVD、提供曲のセルフカバーのCDの詰め合わせ(定価12,000円 全1種のみ)としてリリースしており、もうホントに流石としか言いようがない。バンドサウンドをやったかと思いきや、一夫多妻制アイドル「清竜人25」を立ち上げたりと(2024年に再始動)、作風やビジュアルをAL毎に変えていく彼だが、今作以降はセクシーにシットリと歌い上げるモードに。しかし、同時期にリリースされた声優やアイドルへの提供曲は、相変わらずアクロバティックな歌詞と楽曲であり、そのギャップに毎度驚かされる。
25:41~
Go See(2018年)
Joe Armon-Jones
Gilles Peterson主宰レーベルから2018年にリリースされた名作コンピAL『We Out Here』より。リリース当時は若手のホープだった参加アーティストも、現在は参加者全員が軒並みUKを代表するJAZZアーティストに成長。ディレクターを務めたShabaka Hutchingsはサックスだけでなく審美眼も一流だった。Joe Armon-Jonesに関して言えば、このコンピにはバンド形式の「Ezra Collective」名義でも楽曲を提供している。そちらではアフロビーツやグライムにも真っ向から挑んでおり、サウスロンドンらしさを感じさせる作風になっている。キャリアを重ねたJAZZアーティストにありがちなスピリチュアル志向には向かわず、映画『STAR WARS』のジェダイの騎士に扮したジャケットの「Samuel L Riddim」をリリースするあたり好感が持てる。Samuel L.Jacksonが演じたMace Winduだけが唯一帯刀を許された紫のライトセイバーを持っているのにも注目。コイツらはマジで分かってる。May the Force be with you!
27:51~
It's You That I Need(1978年)
Enchantment
R&Bシングルチャートで1位に輝いた傑作バラード。 Roadshow Records期(1976~79年)には、当時のトレンドであるDiscoやFunkに目配せをした曲も見受けられるが、やはりEmanuel "EJ" Johnsonによるファルセットが効いたスローが最大の持ち味である。 1st ALはカエルを描いたジャケット、2nd ALのタイトル『Once Upon a Dream』とくれば、ほぼ間違いなく「眠れる森の美女」を意識していたものだろう。 実は締め曲を長らく決めかねていたが、前述の「眠れる森の美女」に気付いた時に最後のピースがピタッとはまった。それを受けて、当初物憂げな視線を投げかけていたジャケットの姫には、AI補正で目を瞑ってもらった。